対処すべき課題

経営環境

当社がターゲットとする医療機器市場は、市場の継続的な成長に加え、治療の低侵襲化や技術イノベーションの継続的な進展を背景に、世界的な製品需要の増加が見込まれています。他方、新興国における自国産優遇政策や新興国企業とのコスト競争等、競争環境は激化しています。

このような環境下、当社グループは、引き続き製品毎に且つその製品の特性毎に「世界一の品質を世界のすみずみへ」提供する方針の下、更なる企業価値向上に向けた取組みを推進しています。

中期経営計画2029の概要

当社は、2025年10月8日に公表した新たな中期経営計画において、「ダントツ製品の提供、医療現場の課題解決を通じて信頼される企業」への進化を目指しています。従来から掲げてきた「世界一」へのこだわりとグローバル・ニッチ・トップ戦略を維持することで高収益体質を実現しつつ、医療現場の課題解決を起点とした事業戦略への転換を図ります。加えて、戦略的アライアンスやM&A等のインオーガニック施策を活用した新たな価値の創出により、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 中期経営計画2029の概要は以下の通りです。

  • 事業戦略
    • 全てのセグメントにおいて収益性を伴った成長を目指す
    • コア技術を活かした製品開発と戦略的アライアンスの展開
    事業目標
    サージカル
    (眼科)
    • 眼科ナイフのシェア拡大(グローバルシェア30%→50%)
    • 緑内障・硝子体手術向け製品ラインナップ拡充
    • 戦略アライアンスの強化(製薬会社との共創、米国MST社との販売提携)
    サージカル
    (外科)
    • 微細加工技術を活かせる成長セグメントとして再定義し、事業強化
    • 新製品開発プロジェクトを立ち上げ、新たな事業機会を探索
    アイレス針
    • 独立系針メーカーとして、グローバル№2のポジションを維持・強化
    • マイクロ針やロボット手術など、高付加価値製品を成長領域に投下
    • 中国GPO(政府集中購買)への対応、コストダウンの推進
    デンタル
    • 根管治療製品のポートフォリオを拡大(MANI Endodontic Compass)
    • 歯科修復事業の収益性改善
  • 売上拡大に向けたグローバル戦略
    • 北米、欧州、アジアの売上拡大にフォーカス
    • 地域統括拠点(RHQ)のグローバル5極体制による地域に根差した事業成長の加速
    • 価格競争から脱却し、臨床価値と高品質によるブランド価値の強化
  • 収益性向上とキャッシュ創出力の強化
    • 継続的な原価低減、グローバル生産体制の最適化による生産コストの改善
    • BPR/DXによる業務プロセスの改善、販管費比率の改善
    • サプライチェーンマネジメント改革によるCCC(Cash Conversion Cycle)の改善
    • グローバルキャッシュマネジメント
  • 長期的な成長に向けた経営基盤の強化
    <製品開発力の抜本的な強化>
    • 研究開発プロセス革新による開発スピードの向上
    • オープンイノベーションの活用や次世代製品、加工技術への取組み推進
    <サステナビリティ推進>
    • 成長戦略を実行する人財育成・獲得、挑戦する企業文化の醸成、DE&Iを含む人的資本経営推進
    • 人権方針の順守、環境負荷低減、サプライチェーン管理、第3者評価の獲得とスコア向上
  • 企業価値向上と成長投資
    • 成長戦略を実行し、営業キャッシュ・フローを1.5倍に向上
    • 投資の重点を生産投資から成長投資へシフト
    • 200億円のM&A投資枠を設定
    • 安定的増配による株主還元(DOE8%を目安とした財務運営)
  • 業績目標
    指標 2025年8月期
    実績※
    2029年8月期(目標)
    ベースプラン
    売上高 300億円 450億円
    営業利益(率) 82億円
    (27.3%)
    145億円
    (32%)
    純利益 46億円 105億円
    EBITDA 107億円 180億円
    ROE 8.8% 16%
    売上高純利益率 15% 23%
    総資産回転率 52% 62%
    財務レバレッジ 1.09 1.09
    ※実績については、四捨五入で記載しております。